私たちは、日常死≠意識することはありません。むしろ、死≠遠ざけていることが多いのではないでしょうか。死は、たしかに悲しい出来事であり、好ましいことではありません。できることならば、あまり考えたくはないことです。しかしながら、私たちにとって、死は決して避けることのできない厳粛な出来事です。
 二人称の死、つまり、かけがえのないあなた≠ニいう大切な存在を亡くした時、私たちは死≠ニ直面します。面識のない方の死とは、違う趣(おもむ)きのものです。終わりを意識した時、目には見えませんが、私たちのなかで何かが変わる思いがいたします。
 今年の桜の花は散りましたが、散り際まで命いっぱいに咲いていたように感じます。命ある限り、お念仏の中に精一杯生きてゆきたいものです。
(2015年5月)
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