悲しみにうちひしがれる時、阿弥陀さまの穏和なお顔にふと気づき、涙を流しつつも癒やされることがあります。
 『無量寿経』(巻上)というお経のなかに、「和顔愛語(わげんあいご)」という言葉があります。この言葉は、阿弥陀さまが仏さまになる前、つまり覚(さと)りをひらかれる前のご様子を表現した言葉です。和(なご)やかな顔で、慈愛あふれる言語をもって人々を教え導いているお姿です。この「和顔愛語」という言葉は、「衆苦(しゅく)を計(はか)らず」と説かれた後に出てきます。この時の阿弥陀さまは、さまざまな苦しみはあったけれども、その苦をものともせず、いつも穏和なお顔でやさしく人々を導いておられたというのです。多くの苦しみや悲しみ、そして涙を知っていればこそ、人々を救うことができるのかもしれません。阿弥陀さまのやさしいお顔は、多くの苦しみや悲しみに裏打ちされた偽りのない真実のお姿なのです。悲しみを知る阿弥陀さまだからこそ、私たちはそのやさしさに救われるのです。
(2018年5月)
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