子供の頃、にがてだった食べ物が、大人になり、好物になるということがあります。ほろ苦いふきのとうなどは、まさにそうで、幼い時はあの苦味をおいしい≠ニは思わず、年を重ねてはじめて、なんとも言えぬ味わいに舌鼓を打つのです。そのように、お念仏の日暮らしを送るうちに、苦しみや悲しみがかたちを変えて見えてくることがあります。決して、苦しみが消えてなくなるわけではありません。しかしながら、その苦を通して、いわく言い難い大切なことを感じさせていただくのが、お念仏の醍醐味であると拝します。
(2021年5月)
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