今月の言葉 2020年6月

「明治は遠くなりにけり」と感傷にひたったり「昔は良かった」と軽々しく先輩面をするのは考えものである

土門拳
古寺巡礼

誰しも過ぎ去った出来事に思いをはせ、懐かしい気分に心地よくなることがあるのではないでしょうか。思い出にひたることも、時には大切なことであるようにも感じます。しかし、よくよく考えてみれば、自身が体験し得る過去の出来事は、自分に都合のよい部分だけが強調された作り話になって〝思い出〟として残っていくということがあります。たかだか私たちがこの世に生きておられる時間は、100年たらずでしょう。その短い時間だけで事柄を判断していては、物事の本質が見えてきません。歴史にふれるということは、そのような本質にふれるということだと感じます。
各地への往来が心置きなくできるようになったら、1000年以上前に創建されたお寺・800年ほど前のお仏像などなど、古きお寺をお参りしたいものです。