今月の言葉 2020年5月

それ禿なる樹 定んで禿なるにあらず
春に遇うときは すなわち栄え華さく
増なれる氷 何ぞ必ずしも氷ならん
夏に入る時は すなわち解け注ぐ

空海
秘蔵宝鑰

札幌にも桜の季節がやってきました。冬枯れしていた樹々が、萌えいづる姿をみると、我々も自然の生命力を頂けるような気持ちになり、健やかになれるように思います。今、私たちは疫病の難により、不安な毎日を送っています。いつまでこのような日々が続くのかと、憂鬱になります。そんな時、何気ない季節の移ろいに心が和みます。お寺の中庭には、冬に本堂の屋根から落ちた雪が、今も多少残っています。しかしながら、少しずつゆっくりとその雪のかたまりは、小さくなり、とけて大地を潤しています。この世は常に変化しています。その目まぐるしく変化する世界で、決して変わることなく私たちを照らしてくださる如来さまを感じつつ、お念仏の日暮らしを送りたく存じます。