今月の言葉 2022年3月

春が来て 緑は萌えて 今日の景色もまぼろしになる そして また 冬が来るとき 今日の瞳に励まされる

松任谷由実

大雪に難儀した今年の冬ですが、3月に入ると、雪もしだいにとけ、春の風光を感じます。法然上人のご法語に「今の別れはしばらくの悲しみ、春の夜の夢のごとし」とあります。お念仏を称え、お浄土に生まれたいと願う者同志は、たとえ今生で別れたとしても、極楽にて再会できるのだから、ひとときの悲しみでありますというお示しです。私たちがこの世を生きるということは、夢まぼろしのようなものです。しかしながら、この世で出会ったかけがえのない人との思い出に励まされつつ、この悲しみのつきない世間を生き切ることができるのがお念仏者の尊いところだと拝します。