今月の言葉 2022年1月

鬼神も 哭かするものは 世の中の 人のこころのまことなりけり

明治天皇

 年が新たまりました。また、来月には節分がきます。季節は着実に冬から春へとむかっています。
 ところで、節分には鬼がかかせません。鬼と言うと、なにか自分の外にいる悪さをする敵のように捉えがちですが、私たち自身の嫉妬や人を蔑(さげす)む心が“鬼”となるのです。実は、自分自身が鬼を作り出しているのです。しかしながら、鬼の心(精神)を持つ私たちにも、清らかな心が生じるときがあります。善導大師は、『観経疏』のなかで「衆生貪瞋煩悩中 能生清浄願往生心」とお示しであります。つまり、鬼のような心を持つ私たちも、お念仏によって、嘘いつわりのない一途で清らかな心が生じるとの大師の我々へのエールと頂戴することができます。今年もお念仏の中に、自身の“鬼”と向き合いつつ、誠の心を大切にしたいものです。