今月の言葉 2013年6月

池の水 人の心に 似たりけり 濁り澄むこと さだめなければ

法然上人
「四十八巻伝」第三十

 私たちの心は、常に変化し混沌としています。時には、寛大ですべてを包み込むようなおおらかな気持ちになったり、そうかと思えば、心にゆとりがなくせせこましい料簡になったり、はたまた、清々しく晴れやかな気分の時、憂鬱で沈んだ感情の時、怒りに悶々とする時、穏やかで満ち足りた心地の時・・・。自分の心でありながら、それをコントロールできずに私たちは悪戦苦闘しています。
その私たちの心の不安定性を深く見つめられたのが、お念仏の元祖・法然上人(1133~1212)です。〝心〟とは、どのような在り方をしているのか。その現実をありのままに見つめてゆくところから、私たちがやすらぎの世界に導かれてゆく道程があると法然上人の生涯から拝察できるのではないでしょうか。