年々に わが悲しみは 深くして いよよ華やぐ いのちなりけり岡本かの子
「老妓抄」
新年がやってきました。現代では満年齢が定着していますが、かつては大晦日を境にみなひとつ年を重ねていました。私たちが一年一年歳月を重ねていくということは、どのようなことなのでしょうか。
時間の経過は、私たちの心の風景をセピア色にします。時とともに薄れていく悲しみもあるでしょう。また、年齢を重ねれば重ねるほどに深まっていく悲しみも、私たちの胸中にはあるように感じます。しかし、この悲しみと真正面から向き合って、今を生きるところに、いよいよ私のいのちが華やいでいくという心境に到れるのではないでしょうか。
これからの一年、今日は今日しかないと思い、一瞬一瞬を大切に生きていきたいものです。