道はすべての人の前にひらかれている しかし 自分が生きていくべき人生は 自分で発見していくよりほかにはないのである古谷綱武(文芸評論家)
新年を迎えると、今年一年の抱負というか決意のようなものを、私たちはそれぞれの胸の内に想い描くのではないでしょうか。そんな時、なにかヒントをいただけるような気がして、この言葉を年頭にあたり書いてみました。
ところで、今月は法然上人(1133~1212)の祥月命日のある月です。また、「一枚(いちまい)起請文(きしょうもん)」が書かれた月でもあります。「一枚起請文」は、法然上人が亡くなる二日前に、お弟子の源智上人に浄土宗の教えの肝要を今一度お示しくださったものです。およそ340字ほどの短い文章ですが、悲しみを越える道が、そこに説き示されています。
その「一枚起請文」の道は、法然上人がスポットライトをあてる以前から、ひらかれている道でした。しかし、〝私〟(自身)の問題として、その道を歩まないかぎり、悲しみを越え、やすらぎに到ることはできないと拝します。
今年も、〝今〟〝ここで〟〝私が〟という気持ちを大切に、お念仏の道を歩んでいこうと思います。