私は身体を車体に揺られながら 自分のような平凡に過した半生の中にも 二十年となれば何かその中に大まかに脈をうつものが築かれるような気のするのを感じていた岡本かの子
「東海道五十三次」
旅をすると、いつもの生活では感じられない大切なことに気付かされることがあります。それは、旅が日常ではない、非日常の時間であり空間であるからでしょう。非日常は、日常に潤いを与え、活力を充足させてくれます。日常なくして非日常はなく、非日常がまた日常を形成してゆくのです。
ところで、旅の他にも非日常はあります。年中行事や冠婚葬祭もまた非日常と言えるでしょう。年中行事のひとつであるお盆も、私たちに何か大切なことを気付かせてくれる非日常ではないでしょうか。
あとひと月もするとお盆です。言葉では言い尽くすことのできない何か大切なものを感じる夏が来ます。