今月の言葉 2017年11月

わが母の いのちの終り 見まもりて 出でたる庭に 月照りにけり

南原 繁 (政治学者 1889-1974)

 秋は月がきれいに見える季節です。月はいつも夜空にありますが、私たち自身が眺めてその光を感じなければ、月の存在を知ることはありません。自分の母親の臨終に遇うということは、一生のなかでたった一度しかありません。そんな人生の大切な出来事を経て、ふと庭に出た時、お月さまが照らしてくれていたら、それは格別の光景だったのではないでしょうか。
お月さまは、闇夜を照らしてくれます。まさに、阿弥陀さまが私たちの苦悩の闇を照らしてくださるように月影はやさしく光っています。寒さがつのる晩秋、お月さまと阿弥陀さまをかさねつつ、お念仏の日暮らしを送りたいものです。