今月の言葉 2017年3月

何もしてあげられなかったのに いつも見守ってくれていたこと 伝えたかったのに あなたはもう 何も答えてくれない遠い人 ありがとうって言ったら 永遠にさよならになる 果てしないこの旅で どこかでいつか会おう

松 たか子
「桜の雨、いつか」

 3月は卒業のシーズンです。学校の卒業であれば、その後街でばったり会うということもあるでしょう。対して、人生の卒業となると、この世で再会することはできません・・・。しかしながら、大切な方と過ごした日々は、私たちそれぞれの心の中に深く刻まれ、その方との再会を、果たせないとは知りつつも、つよく願うものです。
『阿弥陀経』には、「倶会一処(くえいっしょ)」という言葉があります。共にお念仏を称え、心からお浄土の世界に救われたいと願うもの同志は、あとさきはあるけれども、同じ阿弥陀さまの世界であるお浄土で再会することができるという尊いお言葉です。お念仏者にとっては、〝どこかでいつか会おう〟ではなく、〝お浄土でいつか会おう〟と場所が確定するのです。
お浄土とは、別れてもなお会うことのできる世界なのです。私たちの一生は、過ぎてみれば夢まぼろしにひとしく、たよりのないものです。お念仏を杖(つえ)・柱(はしら)として、この人生という旅を歩んでいきたいものです。