今月の言葉 2014年7月

岩もあり 木の根もあれど さらさらと たださらさらと 水の流るる

甲斐 和里子(かいわりこ・教育者・京都女子大の前身 顕道女学院の創始者)

 この季節、川のせせらぎは清々しさや爽やかさを感じさせてくれます。しばしば、川の流れは私たちの人生にたとえられます。私たちが生きてゆく上で、さまざまな〝岩〟という障害物に遭遇したり、また悲しみという〝根〟がはびこっていて思うように前に進めないことがあります。
そのような進むべき道が見えず、迷った時にこそ、信仰の芽がはえるのではないでしょうか。お念仏の信仰とは、人生における障害物が解消したり、悲しみがきれいさっぱり消え去るということではありません。たとえ、さまざまなのり越えられない障害物があろうとも、悲しみが根のように深くとも、川を流れる水のように〝さらさらと〟清々しく爽やかにこの世を生きてゆくことができるのが、お念仏のご利益であると拝察いたします。そして、いつの日か、その川の流れは、阿弥陀さまの慈しみあふれる海へとそそぎ、私たちは真実のやすらぎを得ることができるのです。