感傷も 今宵はよろし 開山忌 あがないてもつ 葡萄の房を高橋俊人(歌人・教諭)
秋は感傷的な思いにひたる、よき季節ではないでしょうか。〝感傷〟とは、傷(きず)を感じると書きます。自らが心に負った傷を、あらためて見つめ、思いをめぐらせたり、閉じこめたり、悲嘆に酔ったり、苦しんだり・・・。
〝傷を感じる〟ことは、辛(つら)いことでもあります。しかし、同時に感傷にどっぷりひたった後は、いわく言い難い心地よさのような感懐を覚えます。
ときには、感傷にひたる秋の夜長も一興でしょう。そんな夜は、お月さまが私たちをやさしく照らしてくださいます。