今月の言葉 2014年12月

なぜ生きてゆくのかを 迷った日の跡のささくれ こんな糸がなんになるの 心許なくて ふるえてた風の中 縦の糸はあなた 横の糸は私 織りなす布は いつか誰かの傷をかばうかもしれない

中島みゆき
「糸」

 今年もあと数日で、大晦日です。今からおよそ千年前の平安時代には、大晦日は亡き人のみたまが来る夜と言われ、ご馳走をこしらえて亡き人を偲ぶ夜でした。
ところで、私たちは、一生のうちで忘れられない出会いがあります。その方と共に過ごした時間は、一生の宝物です。その時間の中で紡いだ〝糸〟は、笑顔や涙、喜びや悲しみ・怒りを伴いながら、かけがえのない〝布〟へとなっていくのではないでしょうか。また、その織りなした布は、その方の亡くなった後でも、遺るものであると感じます。
この年の瀬、悲しみの絶えない世の中だからこそ、真実の温もりを感じつつ、お念仏の日暮らしを送りたく存じます。