今月の言葉 2016年5月

根をしめて 風に任する 柳かな


 今、当寺の境内にある柳の木は芽吹きの頃を迎え、萌黄色の若葉がとてもきれいです。実は、この柳の木は、平成16年の9月8日の大風で、倒木したものです。倒れてしまった幹は、枯れてしまいましたが、根は生きており、新たな枝が伸びて、今では釣り鐘堂の屋根の高さまで成長しました。この柳を見ていると、なにか励まされる思いがいたします。
さて、私たちの心の根は、この柳のようにしっかりと根をおろしているでしょうか。困難という風が吹いても、真実の大地に根をおろしていれば、この柳のように新たな芽が芽吹くでしょう。お念仏者にとって、真実の大地とは、阿弥陀さまのお浄土です。お浄土は、苦しむ私たちを、悲しむ私たちを、そっくりそのまま支えてくださる大地です。その阿弥陀さまのやさしさあふれる大地に、私たちの心の根をおろせば、たとえ世間の冷たい風に吹かれようとも、生ききることができると拝します。