仏は一切衆生をあわれみて 善きをも悪しきをも渡し給えども 善人を見ては悦び 悪人を見ては悲しみ給えるなり法然
「念仏往生義」
新しい年が明け、それぞれにこの一年の展望を描くことと思います。誰しも、その様相は違えども〝よき年になるように〟と願うのではないでしょうか。自らの一年を〝悪い年になれ〟と祈る人は、いないように感じます。しかしながら、結果として、今年はあまりいい年ではなかったと、過ぎ去ったことをあれこれ思うことはあります。
私たちが生きる上でも、最初から「悪人」になってやろうという人は、いないように察します。浮き世の荒波のなかで、やむにやまれず「悪人」というものになってしまっているのが、私たちの姿であります。善悪・清濁・愛憎などの混沌の中を生きる私たちのすべてを包み、受け止めてくれるのが、仏さまです。その仏さまを悲しませることのないように、今年もお念仏の日暮らしを送りたいものです。