人は何も持たずに生まれ 何も持たずに去ってゆくの それでも愛と出会うの松任谷由実
「Midnight Scarecrow」
今年も残りわずかとなりました。この時季になると、この一年を思い返し、ふと自らを見つめます。自身の来し方行く末にも思いがいたります。法然上人(1133~1212)の御法語のなかにも「妻子(さいし)眷属(けんぞく)は家(いえ)にあれどもともなわず、七珍(しっちん)万宝(まんぽう)は蔵(くら)に満(み)てれども益(えき)なし」とお示しのように、私たちは「何も持たずに生まれ」て「何も持たずに去ってゆく」のです。
そのような私たちの一生のなかで、「愛と出会う」とはどのようなことでしょうか。寒いとき、寒いねと言ってくれる。つらいとき、つらいねと一緒に泣いてくれる。うれしいとき、うれしいねと共に喜んでくれる。これらの内に「愛」があるのかもしれません。
「愛」は目に見えません、仏さまの光のように。はかなくつたない私たちの一生ではありますが、本当の「愛」を感じながら、お念仏の日暮らしを送りたいと思う年の暮れです。