今月の言葉 2018年2月

春くれば 心もとけて 淡雪の あはれふりゆく 身をしらぬかな

式子内親王

 厳しくつらい冬を乗り越えて、春を迎える喜びは、ひとしおの感があります。それは、困難に耐え、つらい時を経てきたからこその感慨です。私たちが生きる上で、困難やつらい体験というのは、歓迎すべきものではありません。しかしながら、それらを避けて生きるということはできません。そのつらい日々と向き合って生きている私たちです。
時間はどんなときも前にしか進みません。いったん休んだり、後ずさりしたりしないのです。ですから、私たちは刻一刻と年齢を重ねています。当たり前のことですが、考えようによっては、時間の経過とは不思議な感じもいたします。年齢を重ねれば重ねるほどに、悲しみや困難に対する感じ方が深まり、それらを乗り越えたときの喜びもまた深まりをみせるように思います。本当の喜びとは、悲しみや困難を通してのみ見えてくるものなのかもしれません・・・。