今月の言葉 2019年7月

御仏の 御厨子のうちぞ 人知らぬ わが悲しさの 捨てどころなる

甲斐和里子

 最近ではあまり耳にしなくなりましたが、お子さんを叱る時、「仏さまが見ているよ」と言ったものです。それは、仏さまは私たちの喜怒哀楽を受け止めてくださるという実感があったからこそ、にじみ出る言葉です。うれしいとき、仏さまはうれしいねと微笑み、悲しいとき、仏さまは悲しいねと私たちと共にいてくださいます。私たちをそっくりそのまま受け止めてくださるのが、仏さまなのです。この歌は、その仏さまをお慕いする信仰のよく表れたすてきなお歌です。このような静かでありながら、ゆるぎない信心を養いたいものです。