この道 平坦ではありません ふみはずしましたが 気がつけば ここも仏の道でございました榎本栄一
私たちがこの世を生きてゆくということは、喜怒哀楽の荒波の中を進んでいくようなことであると感じます。上り坂、下り坂、〝まさか〟という本当に険しい道を私たちは、歩んでいます。しかし、お念仏の日暮らしを送る人は、その困難な道に対する見方が変わって見えてくるのです。辛く悲しい道も、ふりかえれば、尊くかけがえのない道だったといただけるのがお念仏の御利益です。お念仏を申せば、苦しみや悲しみが消えるわけでは決してありません。苦しみや悲しみは、厳然としてあるけれども、その事実に対する感じ方がお念仏によって「ここも仏の道」と頂戴できるのです。