辛い 苦い 酸いという逆境の中にも 如来さまのお慈悲が 味わえてくるものでございます藤堂俊章
子供の頃、にがてだった食べ物が、大人になり、好物になるということがあります。ほろ苦いふきのとうなどは、まさにそうで、幼い時はあの苦味を〝おいしい〟とは思わず、年を重ねてはじめて、なんとも言えぬ味わいに舌鼓を打つのです。そのように、お念仏の日暮らしを送るうちに、苦しみや悲しみがかたちを変えて見えてくることがあります。決して、苦しみが消えてなくなるわけではありません。しかしながら、その苦を通して、いわく言い難い大切なことを感じさせていただくのが、お念仏の醍醐味であると拝します。