今月の言葉 2024年5月

うれしくても悲しくても涙はでるし うれしいか悲しいかわからなくても涙はでるのよ

大河ドラマ「光る君へ」まひろのセリフ

 『源氏物語』は、千年前に書かれたものでありますが、今も色あせることなく私たちの心をうちます。この物語は、華やかで多彩な恋愛が描かれているように思いますが、その底流には、人々の苦悩や悲嘆が浮き彫りにされています。読み手は、その苦悩や悲嘆を自らのそれと重ね、『源氏』の多様な登場人物の中に自身を投影するからこそ、どんなに時代が変わろうとも、この物語が読み続けられているのだと感じます。涙なしでは、歩むことのできないこの道。お念仏をつえはしらとして、歩んで参りたく存じます。